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よくある質問

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よくある質問(FAQ)

 

接見禁止解除と公判前整理手続の関係は?

勾留された場合に、接見等禁止がされることも多いです。

これに対して、一部解除を求めたり、不服申立てをする方法もあります。

そのようななかで、公判前整理手続での接見禁止解除が争われたケースがあります。

最高裁平成31年3月13日第三小法廷決定の紹介です。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2021.7.29

 

事案の概要

刑事事件としては、傷害致死事件でした。

被告人は、自宅で、父親の背部を包丁で2回突き刺すなどして死亡させたというものでした。

被告人は、平成30年4月20日に起訴されました。

検察官の請求により、裁判所は、第1回公判期日が終了する日までの間、被告人と弁護人または弁護人となろうとする者以外の者との接見等を禁止する旨の決定をしました。起訴後も接見禁止がついた形です。

刑事手続としては、公判前整理手続となりました。

主な争点は責任能力の有無・程度となりました。

弁護人は、責任能力の鑑定について、医師の証人尋問を請求予定。また、被告人の妹を情状証人として請求予定。

 

弁護人は、平成31年2月7日、この医師と妹について、接見等禁止の一部解除申請。

これは、裁判所の職権発動を促すものです。

しかし、裁判所は職権発動せず。

この解除申請については、被告人側には、条文上の根拠もなく、接見等禁止の取消しや一部でも解除請求できる法的根拠はないとされています。職権発動をしないといわれると、そこに対する不服申立て手段もありません。当初の接見禁止決定自体に不服申立てをするしかなくなるのです。

そこで、弁護人は、接見等禁止の取消しを求めて準抗告を申し立て。


原審は、いまでも罪証隠滅を防止するためには、医師および被告人の妹も含めて接見等を禁止する必要があり、弁護人が防御等の必要性として主張するところを考慮しても、接見等禁止の判断を左右しないとして、準抗告を棄却。

弁護人が特別抗告を申し立て。

 

最高裁の決定

原決定取消し、差戻し。

原々裁判が、公判前整理手続に付される本件について、接見等禁止の終期を第1回公判期日が終了する日までの間と定めたことは、公判前整理手続における争点及び証拠の整理等により、罪証隠滅の対象や具体的なおそれの有無、程度が変動し得るにもかかわらず、接見等禁止を長期間にわたり継続させかねないものであると指摘。

このような原々裁判について、平成31年2月に至り、接見等禁止の一部解除の申請について職権が発動されず、原決定が公判前整理手続の経過等を考慮した上で本件準抗告を棄却したという経緯を踏まえると、当審においても、前記
公判前整理手続の経過等原々裁判後の事情をも考慮して原決定の当否を判断するのが相当であるとしました。

本件では、公判前整理手続において、弁護人の予定主張が明示され、主な争点が責任能力の有無程度に絞られたこと、争点に関する証人として、起訴前鑑定をした医師と弁護人申請の医師のほか、犯行を目撃した被害者の妻らが予定されていること、医師については、接見等禁止の一部解除の申請に対する検察官の意見書において、接見等を行う必要性がないとしているだけで、接見等による罪証隠滅のおそれに関する事情は主張されていないことが指摘できるとしました。

以上によれば、少なくとも、医師については、特段の事情がない限り、被告人が接見等により実効的な罪証隠滅に及ぶ現実的なおそれがあるとはいえず、また、連日的な集中審理の公判に向けた準備を行う必要性が高いといえると指摘。

さらに、被告人の妹ら他の関係者についても、勾留に加えて接見等を禁止すべき程度の罪証隠滅のおそれの有無に関し、原決定が具体的に検討した形跡は見当たらないとしました。

これらの点から、原決定には、刑訴法81条、426条の解釈適用を誤った違法があり、これが決定に影響を及ぼし、原
決定を取り消さなければ著しく正義に反するものと認められるとしました。

 

接見禁止はいつまで?

勾留決定とともに、接見禁止がされることも少なくありません。

弁護人との接見は認められますが、接見禁止決定が出される際、通常は、一律に禁止されます。

共犯者がいる事件や争っている事件でつけられることが多いです。接見の際に働きかけ、証拠隠滅などがされるのを防ぐ目的です。

それに対し、弁護人からの申請により、家族や雇用主など、必要性があることや証拠隠滅の恐れがないことなどを示し、一部だけ解除されるということもあります。

 

接見禁止については、「公訴提起に至るまで」や「第1回公判期日が終了するまで」等の終期が設定されるのが通常でした。

当初、接見禁止の必要性が高かったとしても、起訴された場合には、証拠は確保されているはずで、そのタイミングでは必要性が下がることが多いはずです。

また、第1回公判期日では、被告人による認否があるので、そこで認めているならば、証拠隠滅の恐れは低いと判断できます。

そのようなタイミングで、接見禁止を続けるかどうか審査しようというのが終期設定の趣旨でした。

 

公判前整理手続と接見禁止

ただ、公判前整理手続の場合、公判前に何度も整理期日が開かれます。そのため、第1回公判期日までの期間は長くなります。

接見禁止の終期を「第1回公判期日が終了する日までの間」とすると、長すぎるということも出てきます。

公判前整理手続では、争点や証拠の整理等が行われ、一定の拘束力も持ちます。証拠隠滅のおそれも起訴前より変わってくるのが通常です。

そうすると、接見等禁止を続けるかどうか再検討しても良さそうです。

 

このような点もあり、本決定は、公判前整理手続での経過にも触れていることと思われます。

その手続の中で、接見禁止の必要性が下がったのであれば、それも考慮されるべきでしょう。

 

 

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