強制わいせつ
わいせつ関係
強制わいせつ罪
強制わいせつ罪は、
刑法176条
「13歳以上の男女に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の男女に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。」
と規定されている犯罪です。
ご家族が、強制わいせつ罪で逮捕・勾留された場合、大きなショックを受けていることでしょう。
しかし、強制わいせつ罪が成立している場合、被害者側のショックは多大なものです。
強制わいせつ罪は、以前は、「告訴がなければ公訴を提起することができない。」と親告罪とされていましたが、法改正により、平成29年7月から非親告罪ではなくなっています。
親告罪では、被害者側が起訴前に示談に応じてくれる場合には、告訴もあわせて取り下げてもらうことで、起訴されずに釈放されるのが原則です。
この法改正により、示談により必ず不起訴になる、とは言えなくなりましたが、性犯罪では、やはり被害者との示談については重要なポイントになります。
刑事手続の中では、有利に働く要素となりますので、できる限り示談交渉は進めた方が良いでしょう。
強制わいせつ行為の際に怪我をさせてしまったり、複数人で行為に及んだ場合は例外ですが、原則として、被害者本人が「刑事告訴」をしていることから、逮捕・勾留に至ります。
被害者は、犯罪行為による苦痛を受けたほか、警察などの捜査機関に対し、被害状況を詳細に説明し、供述調書を作成しないといけません。
ときには、刑事手続の過程で二次被害を受けることもあります。
そのため、強い処罰感情を持っているのが通常です。
加害者側の家族や加害者本人が何と謝罪をしても許してもらえないのが通常です。
ただし、犯行に及んでしまった以上、償えるものがあれば償わなければなりません。
法律上、違法行為をしてしまった場合には、慰謝料等の損害賠償義務があります。刑事手続の中で、この義務をしっかりと果しておくことが重要です。
弁護士が選ばれている場合、このような賠償交渉や、ときには示談交渉も担当しますが、被害者側から「本人や家族は何と言っているのですか?」と聞かれることも多いです。
ときには、ご家族が示談交渉の場に同席し謝罪することもあります。
被害感情もあるため、早期に示談で解決することは必ずしも簡単ではありませんが、最善を尽くしたい方は、早期に対応をする必要があります。
公然わいせつ罪
公然わいせつ罪は
刑法174条
「公然とわいせつな行為をした者は、6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。」
と規定されている犯罪です。
量刑自体は比較的軽いことが多いですが、常習性があると実刑判決にもなりかねない犯罪です。
犯行に及んでしまう動機が性癖であることが多く、二度と犯行に及ばないということを積極的に弁護活動の中で伝えていく必要があります。
わいせつ物頒布等
公然わいせつ罪は
刑法175条により
「わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し、又は公然と陳列した者は、2年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金若しくは科料に処し、又は懲役及び罰金を併科する。販売の目的でこれらの物を所持した者も、同様とする。」
と規定されている犯罪です。
この犯罪が成立するかどうかは、わいせつかどうかの認定がポイントになります。犯罪が成立する場合には、その態様がどのようなものであるかによって量刑が変わります。
頒布行為によってどの程度の利益を得たのか、その利益はどうなったのか、また、複数人で犯行に及んだ場合、自分の地位はどのようなものだったのか、これらの点から有利な事情を主張していくことが弁護活動になります。
また、ネットでの頒布について、どこまでが「頒布」になるのか、裁判所の判断も出てきています。
たとえば、最高裁平成26年11月26日決定では、ウェブサイトの運営をしていたケースで、顧客がデータをダウンロードして保存するのだから、「頒布ではない」と弁護人が主張したものの、
「顧客による操作は被告人らが意図していた送信の契機となるものにすぎず,被告人らは,これに応じてサーバコンピュータから顧客のパーソナルコンピュータへデータを送信したというべきである。したがって,不特定の者である顧客によるダウンロード操作を契機とするものであっても,その操作に応じて自動的にデータを送信する機能を備えた配信サイトを利用して送信する方法によってわいせつな動画等のデータファイルを当該顧客のパーソナルコンピュータ等の記録媒体上に記録,保存させることは,刑法175条1項後段にいうわいせつな電磁的記録の「頒布」に当たる」
とされ、形式的というより実質的な解釈がとられました。
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