危険運転致死傷罪
危険運転致死傷罪
危険運転致死傷罪は、以前は刑法に規定されていましたが、平成26年5月20日施行の「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」2条に移行されています。
特に危険な運転行為を処罰する法律です。
たとえば、
アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為
その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為
赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
のように、飲酒、薬物、大幅なスピード違反、赤信号無視などが処罰の対象とされています。
赤信号等の「殊更に無視」については、赤信号だという確定的な認識まではなくても、信号自体を気にせず赤でも無視するような意思で進む行為でも成立するとされています。
また、赤信号を認識した時点で、ブレーキをかけても交差点手前の停止線までには停止できないという状況で、「殊更に無視」ではないのではないか、と争ったケースもあります。
しかし、裁判例では、停止線までに止まれなくても、赤信号というのは、停止線を越えた先の進行も禁止しているのだからブレーキをかけるべきだとして、危険運転致死傷罪の成立を認めています(東京高裁平成26年3月26日判決、高松高裁平成18年10月24日判決)。
ですので、「停止線までに止まれない」と思っても、赤信号に気づいた時点で、できるだけブレーキをかけるなどして、事故防止につとめる義務があるといえます。
危険運転致死傷罪は、相手にケガをさせたケースで15年以下の懲役、相手を死亡させた場合には1年以上の懲役と重い罪ですので、しっかりと対応する必要があります。
高齢者による危険運転も、この法律で厳しく処罰される傾向が高まるでしょう。
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