
よくある質問
よくある質問(FAQ)
依存症、悪習慣の対策は?
刑事弁護では、薬物依存、窃盗癖などで依存の問題が出てきます。
今回は、依存症、悪習慣、悪癖対策として5選を紹介します。
動画での解説はこちら。
身近な依存症
依存症や悪習慣対策の話です。
参考にした書籍はこちらです。
『僕らはそれに抵抗できない』(アダム・オルター著)
こちらの本を参考に、依存症があるとか、悪い習慣から抜け出せないという場合の対策を紹介します。
依存症というと、自分には関係がない、遠い世界の話だと思ってしまう方がいるかと思います。
依存症といえば、薬物、覚せい剤、大麻などをイメージしたり、せいぜい、アルコール中毒だという人もいるでしょう。
しかし、このような物質への依存だけではなく、行動的な依存症もあります。
例えば、SNSで投稿して、そこから目が離せない。
スマホゲーム依存もそうです。
犯罪でいうと、窃盗癖も行動に対する依存です。
珍しいところでは、運動依存症という話もあります。運動から抜け出せなくない、体を酷使しすぎてしまう行動依存症です。
行動依存ということは、悪習慣にも適用できる話です。悪い習慣をやめたいという人にも参考になる1冊といえるでしょう。
今回は、この本から5つの対策を取り上げてみます。
1 対象について知る
依存症の対象を知ることが第一の対策です。
アルコールやニコチンのように、体内に摂取する物質的な依存症と、SNSや買い物中毒のような行動的依存は、構造的に同じであるとされています。
どちらも脳内のパターンは類似しているそうです。
刺激を出して報酬としてドーパミンが出るなど、脳内物質の動きが類似しているとのこと。
そうであれば、どちらの依存症も、同じような対策が使えるという話になります。
ハマってしまう仕組みも対策も類似しているということです。
そして、このように依存症になりやすい原因には、遺伝子の影響もあるそうです。
遺伝子の中で4-4Rという遺伝子が依存症になりやすい原因とのこと。この遺伝子を持っている人は全体で10%くらいいるという話です。
親が何かの依存症という場合には、その遺伝子を引き継いでいる可能性があると警戒しておきましょう。
行動依存について、150万人を調査したという実験結果が紹介されています。ここでは、全体の40パーセントぐらいが、この1年間に何らかの行動依存になっていたそうです。
遺伝子の影響以上に、行動依存になっている人もいるため、他の要因も気にする必要があります。
ミッシングリンク
依存になりやすい原因としてミッシングリンクというポイントが紹介されています。
ストレスを抱えている、不安なとき、には、依存症になりやすいという話です。
窃盗癖も、最初はストレス解消から、などと主張されることも多いです。
高ストレス期には、何かにハマりやすい、リスクが高いということは覚えておきましょう。
また、子供から大人になっていく中で、成年に達するあたりは、特に依存症になりやすい傾向があるそうですので、こちらのタイミングも注意しましょう。
2 手を出す前に想定
悪習慣や依存症が、薬物依存と同じ構造であるということは、抜け出すのは大変であるということです。
何より有効なのは、抜け出す必要がない状態にしておく、予防ということになります。
ハマる前に、手を出すなということです。
ネットショッピングやスマホゲームは、依存しやすくデザインされています。
抜け出しにくいのは当然です。
そういったものに手を出す前に、はまったときに大体どれくらい時間、お金をとられるのか想定してからやりましょう。
もちろん、事前予想なので、なかなか予想はしにくいです。
ただ、最悪の場合、周りを見てハマってる人がどれくらいの時間、お金を使っているのか、ユーザーの声くらいは確認しておいたほうがいいのかなと思います。
3 環境
3つめは、環境という視点です。
依存症、悪習慣から抜け出すためには環境を変えたほうがいいです。
有名な話にアメリカのベトナム戦争と薬物問題があります。
戦争の現地に行ったアメリカ兵が薬物中毒に近い状態になってしまいました。
薬にハマった人たち大量に帰国するという際に、このままでは大変なことになるとして対策チームが作られました。
何もしないと、10万人くらいの薬物依存者を国内に抱えることになってしまうと。
国内に戻ってきた人たちを追いかけて調査したところ、そのままハマり続けてしまった人は、全体の5%くらいだったそうです。
これは薬物の依存度からすると、信じられないくらい低い数字でした。
結局、この調査結果から、覚せい剤などの薬物に依存する原因の一つには、環境があるだろうということがわかりました。
戦場というような環境と結びついて薬物使用をしていたので、その環境から離れて国内に戻ってきたときには、環境が変わっているので手を出しにくくなったという話です。
場所や環境は、人間の脳の長期記憶に結びつきます。
依存症の構造としては、このような記憶と結びついているのではないかと言われます。
そのため、依存した環境、例えば住居や友人関係などを大きく変えることによって、長期記憶を封じ、依存記憶自体も減っていくのではないかと考えられます。
逆に、その記憶というのは長期記憶に残ってしまっているので、1回抜け出したとしても、昔の環境に戻ると、依存症が再発するリスクが高まるといえます。
薬物などから抜け出したいというのは、自分の意思だけでなんとかなると思ったら、大間違い。抜け出せるような環境
をデザインした方が良いといえます。
4 置き換え
依存から抜け出すっていうのは、自分の意思だけでは解決しにくいです。
そこで、習慣を置き換えるのが有効です。
依存症が進んでいくパターンとしては
まず、合図があります。
そのあとに儀式があり、その結果、報酬が得られます。
合図、儀式、報酬。
この中で、儀式だけを他のものに置き換えましょうという話がされています。
爪をかむという悪習慣だと、なんだかソワソワしてかみたくなるのが合図。
噛むのが儀式。その結果、なんだか安心など報酬を得られるという流れです。
そこで、ソワソワしてきたら、違うことをするというように意識して行動します。
にたような満足が得られるような行動をすればよいのです。
この置き換えは、悪い習慣を抜け出すときによく使われる方法です。
この場合、両立しない行動をすると良いです。
タバコを吸いたくなったらガムを噛む。
スマホゲームのアプリの場所に、違うアプリを置く、などです。
5 ドント・ウェイト・ユア・マネー
これは、自分で罰則に近いものを設定する方法です。
やめたい行動があるときに、一定期間を設けます。
その期間、封筒を準備。
毎日、ある程度の金額を入れます。痛い金額。
封筒には、寄付先の住所を書いておきます。
悪習慣をしてしまったら、そのまま寄付先に送る。
もし、ルールを守れたら、封筒からお金を出して、大切な人のために使うという方法です。
家族や友人のために使うのです。
お金の使いみちとしては、この二択。
寄付するか身近な人に使うかです。
どうやら、身近な人のためにお金を使う方が、自分でお金を使うよりも、脳の満足度が高いそうです。
脳内報酬が出るということで、二択の一つに設定したそうです。
どちらにせよ出費をすることにはなりますが、その分、報酬を感じられる方法かと思います。
抜けられない人は試してみてください。
このように、依存症や悪習慣対策として有効そうな方法を5つピックアップしてみました。
このような依存や悪習慣から抜け出せなくて刑事事件を起こしたり、お金を使いすぎて多重債務を負ってしまうということもあります。
そのような事態にならないよう、参考にしていただければと思います。
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